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嘘の演技力


タンセンは魅力のある街だと思った。
子供の頃プレイしたドラゴンクエストの街並みを歩いてる様な気分にも
なり楽しかった。

しかし、店のほとんどが閉まっている事が僕の気分をそこまで上げる事も
出来なかった。

2日目の夜、街を出ようと思いホテルのフロントで翌日のバスの時間を聞く。

残念ながらダサインの期間はバスは出ていないと言う。
ツーリストバスではなくローカルバスでも良いと伝えたが、残念ながら
明日は出ないとフロントの男は申し訳無さそうに首を横に振った。
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水の出ていない噴水や街のはずれの公園でひとやすみをし、街を見て周る。

やっていない食堂の前で腹を押さえながら佇んでいると、隣の果物屋の
おばちゃんが家に上がって茶でも飲んで行きなさいと誘ってくれた。

2階へ上る階段は細くて急だった為、昔の日本の家を彷彿とさせた。
通された部屋にはおっさんが横になってテレビを見ている。

いきなりの異邦人の訪問にびっくりして飛び起きた様が面白かった。

翌日も朝から街を歩いた。

バスターミナルに良くとバスが沢山あり活気がある。
行き先や時間の表示は全て現地の文字で書かれている為何もわからない。

もしかしたらと思い、サングラスをした一人の男性に話しかけてみる。
ここでも英語が全く通じない。
ガイドブックを駆使しネパールの言葉で何回も聞いてみた。
周りには他のネパール人も集まってきて、僕と男を中心に人垣が出来る。

  僕「スノウリに行くバスは今日ありますか?」
サングラス男「あるで。11時半からこのバスで出る予定や」

サングラスの男は目の前のバスを指差した。

時計を見ると10時50分。
サングラス男と周りの男達にも礼を言ってホテルまで走った。

ホテルの男は僕を1日でも多く泊めておきたいが為に嘘を付いていたのだった。

坂道を息を切らしながら走り、ホテルに戻ってバックに荷物を押し込み
怪訝な顔をしたフロントの男にチェックアウトの手続きをしてもらう。

騙したはずのフロントの男に対する怒りはなぜか少しも無かった。
逆になかなか演技力のある奴だと感心した。


駆け上がった坂を、今度は転がり落ちるようになりながら
バスターミナルへ走った。
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by tk-cafe | 2006-05-29 17:32 | ネパールの旅 | Comments(9)

H2O


奇妙な天井の音で何回か目を覚ましながらも翌日は気持ち良く起きる事が出来た。

朝食を取ろうと思い外へ出るが、相変わらず食堂は閉まっていた。
仕方なく果物屋でりんごとバナナを口に入れ食欲を満たす。

坂ばかりなので歩いていてしんどいが、カトマンズと違い車の騒音や
クラクションが全く無いので嫌な気はしなかった。
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途中で喉が渇いたので水を買う事にし、小さな商店に入った。
店には10代後半位の2人の少年とすこし年上の青年がいた。

入った途端3人が珍しい物を見るようにまじまじと見てくるので、
少し圧倒されながらも話しかける。

 僕「アイ ヲント ウォーター」
3人「???」

発音が悪いのか?
顔を見合わせている。
 
僕「ウォウタープリーズ ウォウター」
3人「???」

全く通じない。
困ったな、と思った時に中学生の頃に理科の先生が言った事を思い出した。

先生 「水と言うのは世界中で色んな言葉がある。
     しかし水の元素記号は世界に一つしかない。
     もし君達が砂漠で死にそうになって困った時は『H2O』と言えば通じるから
     安心しなさい。」

10年の時を経てついに使う時が来たのだ!

僕はさっきよりも大きな声で聞いた。

 僕「H2Oプリーズ!」
3人「?????????」

おわっ、話が違うじゃないですか先生…。

結局冷蔵庫の前まで行って身振りで手振りで伝える事に。
すると3人は口を揃えて

3人「オー ウォラー!!」

ネパールの小さな小さな街で、英語の講座を受けたのであった。
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by tk-cafe | 2006-05-21 09:10 | ネパールの旅 | Comments(10)

坂の街


バスを降りた僕は歩いてタンセンまで行けると思っていたし、そのつもりだった。

しかし、街は近そうに見えて遠かった。
しかも乗り物酔いで体も心も疲れ果てていた。

乗り合いタクシーに声をかけられたので、乗る事にしたのは良いが満員で
座れるはずも無く荷台の柵に捕まっていた。
手を離すと確実に落ちるので必死で捕まった。

タンセンの街に着いた時は極限の疲労で倒れこんでしまい、シャッターの閉まった
商店の前でバックを枕に横になった。
ホテルを探す気にもなれない・・・。

少しして住民に兄ちゃん大丈夫か?と言われてやっと身を起し
宿を探しに歩き出す。
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噂通り坂の街だった。

道も石畳で出来ており昔のたたずまいを残している。
なんとか開いているホテルを見つけ荷物を部屋に置き、そのまま
ベットに倒れこんでしまった。
天井からずっと奇妙な音がしていたが、それも気にしているまもなく眠りについた。

数時間して目が覚め、気分も少し良くなったので街を歩く事にする。

ほとんどの店がシャッターを下ろしていた。

ヒンドゥー教の祭り『ダサイン』がある為である。
ダサインとは戦いの神ドゥルガの勝利を祝う祭りであり日本で言う
正月的な感じなので店も休む所が多いようだ。

ガイドブックに載ってあった唯一の店ですら閉まっていた。

仕方なくホテルに戻りレストランに入り、一人で食事をする。
妙に広い為一人で食事を取っているとますます寂しい気持ちになってくる。

そういえばツーリストらしき人々を全く見なかったな…。
少し来る時期を間違ったかな、と内心思いながらも深い眠りについた。


天井の奇妙な音は鳴り続けていた。
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by tk-cafe | 2006-05-18 09:44 | ネパールの旅 | Comments(6)

汚れたバス


まだ太陽が上がりきっていない時刻、
ネパールとインドの国境の街スノウリに向かうバスが
バスターミナル(ただの広場)に到着した。

鈴木と共にポカラで最後のチャイを飲んで軽い朝食を終えると
バスに乗り込んだ。

バスには多国籍な人間が乗り込んでおり僕の旅心を再び弾ませてくれる。
タンセンには観光客はほとんど行かないらしいので、僕だけが途中で
下車する事になるだろう。

タンセンとはポカラとスノウリの中間に位置する少しルートから
離れた古い街である。

バスは猛スピードでガードレールの無い道を進んだ。
相変わらず崖の下や、道路沿いには故障したバスや事故を起したバスが
そのままの状態で放置されている。

初めは景色を楽しんでいたが、運転の荒さとブレーキングの酷さに
ついに気分が悪くなって、最終的にはとてつもない乗り物酔いになってしまった。

カンボジアの悪路の方がまだマシに思える程だった。

窓側の鈴木と場所を変わってもらい、もうスピードのバスの窓から
大量のゲロを吐く始末・・・。
ふと前を見ると他の窓からも乗客がゲロを吐いていた。

休憩所に止まり、バスを外から眺めると左右共にゲロだらけに汚れていた。
その部分をいつもの事の様に乗務員が水をチャプチャプかけて落としている。
きれいにする前に運転の方をもう少し何とかしてみては?と真っ青の顔で思った。

改めて出発したバスでタンセンの近くまで行き、そこで下降した僕は
鈴木と日本での再開を約束をし、お互いの旅の無事を祈った。
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ゲロまみれのバスは再び猛スピードで走り去った。
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by tk-cafe | 2006-05-16 09:22 | ネパールの旅 | Comments(4)

進むべき時

ポカラでの生活は本当にのんびりして、楽しい時間だった。

朝起きてまず近くの「ジャーマンベーカリー」と言うパン屋に行き、
チョコクロワッサンを買って食べる。
食べたついでにブラブラと散歩をして、近くのベンチで休む。

仲良くなった地元のラージと言うネパール青年と話したりして時間をつぶす。
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昼になるとレストランに入り本を読みながらビールを飲んだりメシを食う。

またブラブラ出かける。

誰かしら宿にいる友達と出会い、話し出す。

夕暮れになり一度宿に戻りシャワーを浴びる。
そして夕陽に照らされた山々を見る為に屋上に上がり目を養う。

宿の友達と近くの食堂で微妙な味の飯を食べ、ぬるいビールで乾杯をし、
部屋に帰るとYさんという人が口琴(口で音を出す楽器)でBGMを奏でてくれる。

煙の漂った部屋でみんながリラックスしてぼんやりしている時間だ。
ゆっくりと煙が漂っているのが見ているだけで面白い。
音楽が形になって見えるようだ。


心のどこかで
『このまま航空券の日ギリギリまでポカラにいるのもええなぁ』
とまで思っている自分がいた。

甘い香、誘い、時間が僕を逃がさない・・・さすがアジアで最強といわれる沈没地だ。
このままでは他の土地に行けなくなってしまう。

そういえば隣の部屋に泊まっている初老の白人は3ヶ月も滞在していると聞いた。

動けなくなってからでは遅いのだ。
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同じ事を考えていた鈴木と僕は数日後の早朝、まだ太陽も
上がりきっていない時間に街を出た。
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by tk-cafe | 2006-05-03 08:01 | ネパールの旅 | Comments(4)


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